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再び、当事者として その2

確定診断を受けてから十数年過ぎたある日のこと。

アマゾンで奨められたある本が目に留まった。
吉濱ツトムさんという人の『アスペルガーとして楽しく生きる』という本。
当事者の本はさんざん読んだし、もう今更、と思っていたけれど、
タイトルが気になった。
「楽しく生きる」?楽しいの?アスペルガーで?

読んでみたところ、とても興味深い内容だった。
著者が自らの人生を改善するために試行錯誤を重ねて有効な方法を発見し、
それを体系化して今では発達障害カウンセラーとして活躍しているという。

紹介されている改善法の中で何よりも衝撃的だったのはローカーボ療法だった。
発達障害者は糖代謝異常があり、低血糖になりやすいとのこと。
それには糖質制限が有効だという。

代謝異常については、
確かドナ・ウィリアムズの本にもチラッと書かれていたし、
自分でも低血糖になりやすいという自覚はあったのだけれど、
その対処法はまったく逆に考えていた。
低血糖になりやすいから、そうならないように甘いものや
おやつを意識して食べるようにしていたのだ。
一時期は、ブドウ糖(薬局で売っている、ラムネみたいなやつ)を
持ち歩いたりもしていた。

これは、アスペルガーについて知ったときと同じくらい衝撃的だった。

理屈で納得すると行動できてしまうタイプなので、
さっそくローカーボ療法を試してみた。
あれほど甘いもの好きだったのに、砂糖も炭水化物も3日でやめてしまった。
(一気にやめてしまったせいで、糖新生が上手くいかず、
3週間ほど低血糖になっていたようだけれども。
決してマネしないでください。
3日でやめられたのには理由があって、
物事を断つのに有効な手法を知っていたから。
これについては、またいつか。
ちなみに、私はそれまで7、8年ベジタリアンをやってきて、
ちょうどその限界に気づき始めた頃だったので受け入れられたのだけれど、
それより前だったら、肉食が必要なローカーボ療法なんて
絶対に受け入れられなかっただろうと思う。
何ともタイムリーなときに出会えたわけで、
アマゾンは時期も見計らって奨めてくれるのかと思ってしまうほど。)

それでどうなったか。
なぜだか夜中にトイレに起きなくなったので
(それまでは毎日起きていた)よく眠れるようになって
睡眠時間は2時間減り、
気分の浮き沈みもうんと少なくなった。
集中力も高まったので仕事の効率もアップし、
不安が減ったことから割に合わない仕事は断れるようになって、
自営業だから収入もアップした。
長年の悩みの種だった過敏性腸症候群も治ってしまった。

それまで、発達障害云々なんて言っていても
どうにもならないんじゃないかと思っていたけれど、
代謝異常が心身に大きな影響を及ぼしているのだとしたら、
発達障害を自覚して正しく対処することで人生は大きく変わるのではないか。

そう思った私は、忘れることにしていた、自分に発達障害があるという事実に
もう一度向き合ってみることにした。